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「どうして風邪なんてひいているんですか〜!?」
 ショックを隠さずにリナは声を張り上げた。
 一通り説明をし終えた後だった。
 人影のない部屋に響き渡る声に、白く大きなマスクをつけた少年、エコ・クラントは眉を寄せる。
 部屋にいるのはリナとエコだけ。いるはずの養護教諭は不在のようだった。エコはリナが訪れた時すでにベッドの住人だったが、情け容赦なく叩き起こされた。そんなことはセーラで慣れているエコは、うつると悪いからとマスクをつけて、ベッドサイドのリナと話をし始めたのだ。
「リナ……一応ここ、保健室なんだけど」
「そんなことわかってますよ! 何を言うんですか!?」
 先にエコの本来居るべき教室へ寄って、保健室にいると聞かされたからここに来たのだ。もちろん理解している。大きく頷くと、何かを言い返そうとしていたエコが咳き込む。
「エコ先輩を頼りにしてきたのに、風邪ひきじゃあ仕方がないですよね……」
 そう言って顔を伏せたリナには見えなかったが、エコはかなり安堵したらしく、肩の力が抜けていた。
「あ、でも」
 がばっと顔を上げて、目を爛々と輝かせてリナは告げた。
「星見祭まではまだ時間がありますし、その頃にはきっと治っていますよね!」
 ガクリ、とエコが脱力する。もちろんリナが気づくわけもなく、自身の思いつきにうっとりしたような目をしていて、すでにエコは視界に入っていなかった。
「なんで……セーラだけじゃなくてこの子まで……」
 小声で呟かれた言葉はリナの耳には届かない。
「頼りにしてますから! エコ先輩!」
「頼りにされても……そうだ、僕よりもフィンさんとかの方が……」
「!」
 リナが弾かれたようにじっとエコの顔を見つめる。
「それは思いつきませんでした。早速行ってみます!」
 エコの次の言葉を待つまでもなく、リナは風のように保健室を飛び出す。
「あ……」
 止めようと伸ばしかけた手を元に戻し、不用意な発言だっただろうか、とエコは頭を抱えた。
「それにしても、神社?……そういえば確か……」
 考え込んだエコは、その後戻ってきた養護教諭に、具合が悪いのに起き上がっていることを怒られる未来をまだ知らなかった。

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