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「リナったら…。どこへ行ってしまったのかしら?」
 リナとはぐれてから、しばらくの間、セーラはリナを探していた。
 …といっても、この闇の中だ。見つけ出すのは、簡単なことではない。それに、何が起こるのか分からない。
 万が一、将来の相手を定められでもしたら…。動かない方が、良いのかもしれない。
「どうしようかしら」
 はぁ、とセーラがため息をついた、その時。
『君は、セーラ?』
 聞きなれない声が聞こえてきた。少年の声。
「どなた?」
『…この神社の、ご神体の化身だよ。さっき、リナという女の子と話してきたよ。彼女は、もう帰ってしまったから。セーラも、帰った方がいいんじゃない? あぁ、それとも、将来の相手に興味があるのかな?』
「将来の相手に興味はありませんわ。ところで、どうしてご神体自ら私とリナの所へいらしたんですの?」
 少しの沈黙の後。
『ただの、気まぐれなんだけどね。リナに少しだけ、興味があったんだ。きっと彼女なら、願いを叶えることができるよ』
「そう…ですの。きっと、リナ、喜びますわ」
『じゃあ、そろそろ帰る?リナに、楽しかったって、言っておいて』
 セーラが頷くと同時に、白い光が辺りを包み込んだ。あたたかて、柔らかな、白い光。セーラは、すっと目を閉じた。

「…あ、セーラ先輩!?」
 リナが目を覚ましたのは、保健室のベッドの上だった。頭がぼんやりする。どうして私、ここにいるんだろう。…何があったんだっけ?
「今日は、ここでゆっくり休むでいいわ。エコには、別の部屋に移ってもらいましたの。風邪がうつると、困るでしょう?」
 時計は、午後6時を指していた。時間がたつのが、早いような気がする。
 セーラは、にっこりと笑ってみせた。
「今、夕食を持ってきますわ。神社の中でのことは、また今度話しませんこと?」
「そう、ですね…」
 リナが相変わらずぼんやりしているのを見て、セーラは少し笑った。それから、保健室を出て行った。
 残されたリナは、再びベッドに横になった。数分もたたない内に、ベッドから、寝息が聞こえてきた。

 数日後、星見祭当日。
 生徒全体のテンションが、妙に上がっていた。朝から、雪合戦やら何やらで、校庭で騒いでいる。
「リナはやらないんですの? 雪合戦」
 1人、教室でぼんやりしていたリナを見つけて、セーラが言った。
 どうやら、皆、校庭に出て行ってしまっているらしい。
「あ、セーラ先輩!何だか、そんな気になれなくて…。ところで、いいかげん話してください。神社の中であったことを。また今度、また今度って、ずっと話してくれなかったじゃないですかー」
「…そうね。それじゃ、リナの方から話してくださらない?」
 にっこりと笑ったセーラを見て、リナは戸惑った。しかし、すぐに神社の中での出来事を話し始めた。
 セーラの鏡を見つけたこと。少年の声を聞いたこと。星見祭の伝説を教えてもらったこと。
「それじゃ、やはり、あなたもご神体の声を聞いたんですのね?」
「え…。ご神体って…?」
「私も少年の声を聞きましたわ。自分で、神社のご神体の化身だと言っていました。少しだけ、話したんですけど…。それから、リナに、『楽しかった』と言ってほしいと頼まれました」
 リナは、混乱する頭の中で考えた。
 私の聞いた声は、ご神体の化身の声? 何だか、よく分からなくなってきちゃった…。
「とりあえず、考えるのはまた明日にでもしておいて。今は、願いごとのことだけ、考えた方が良いでしょう」
「…そう、ですね」
 それきり、2人は沈黙した。

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