No.01/NO.02/No.03/No.04/終・前/終・中/終・後

「将来の相手が定められるって…どうしてですか!? それより、セーラ先輩、何でこんな所に」
「危ない所でしたわ。とにかく、一刻もはやく鏡を探して。将来の相手を決められてしまっても良いんですの!?」
 リナの言葉を遮って、セーラは早口で話した。
 状況が、いまいちつかめない。ここは一体どこなのだろう。ご神体の鏡って、何のことだろう。
 ぼんやりと考えながら、リナは辺りを見回した。とりあえず、鏡を探せば良いのだろう。そうすればここから抜け出すことができるかもしれない。
「でも、将来の相手かぁ。ちょっと気になるかも」
 その時、遠くにきらっと光る物が見えた。慌てて、目をこらすと、やはり何か光っている物が見える。
 ……鏡、かな?
 リナは光る物がある方向へ向かって駆けて行った。…が、何かがおかしい。もう何分も走っているような気がするのに、いつまでたっても光る物に手が届かないのだ。それどころか、遠ざかっていくような…。
「セーラ先輩?」
 遠くで、セーラの呼ぶ声が聞こえたような気がした。
 戻ろうか? それとも進もうか? 一瞬迷ったが、リナは進むことにした。自分がどこから来たのか、分からなくなってしまっていた。辺り一面の、闇。
『リナ?』
 ふと誰かに呼ばれて、リナはきょろきょろと辺りを見回した。しかし、誰もいない。聞き覚えのない声だった。
 誰だろう。何で私の名前を知ってるの? 空耳…? どうしよう、幻聴まで聞こえるようになっちゃったんだ!
『鏡なら、もうすぐ見つかるよ』
「え?…誰?」
 戸惑いを含んだ声で、リナが尋ねる。やはり、辺りには誰もいない。
『今は内緒。リナは、ここへ何をしにきたの?』
 少年の声のようだった。リナと同い年くらいだろう。
「えっと…」
 そもそも、何でこんなことになっちゃったんだろう。星見祭の流星群の伝説を調べてて、セーラ先輩に神社の伝説を教えてもらって。手伝ってもらおうと思ったけど、エコ先輩は風邪、フィンさんは相手にしてくれなくて、キトゥンさんは冷たかったし。だから私は、伝説のことが少しでも分かればと、神社へ来た。そうしたら、結界に拒まれることもなく神社の中に入れちゃって。…それから、何か変なことに巻き込まれちゃったんだよね。そういえば、セーラ先輩どうしてるかなぁ。心配してるかも…。
「星見祭の伝説を調べてたんだけど、色々あって、妙なことになっちゃったの。それから鏡を探してたら迷っちゃったんだけど、ここ、どこか分かる?」
 しばらくの沈黙の後、少年が答えた。
『一応、神社の中だけど。リナは、結界に拒まれなかったんだ』
「結界?  あぁ、うん、何ですんなり入れたのかなぁ…」
『たまにいるんだよ。どうしてなのか、僕にも分からないんだけど。…まあ、良いや。とりあえず鏡を探そうか。リナの探してる鏡を』
 リナはこくりと頷いて、ゆっくりと歩き出した。
 闇が、さっきより薄れてきたような気がした。明るくなり始めているのだろうか。
『あぁ、ひょっとしたら、あれじゃない? ほら、あそこに光ってる物がある』
「本当だ!! たぶん、あれだと思う、ありがとう!!」
 リナは歓喜の声を上げ、光る物…おそらく鏡、へ近付いて行った。
 光る物は、やはり鏡だった。金色の縁の、丸い鏡。これが、セーラ先輩の鏡?
『良かったね。ところでリナ、さっき星見祭の伝説がどうとか言ってたよね?』
「うん、流星群のことと、神社のことよ。あなた、何か知ってるの?」
『知らない訳じゃ、ないけどね。知りたいんだ?』
 水色の瞳を輝かせて、リナが深く頷いた。少年が、クスクスと笑う。
『流星群の伝説は、リナも知ってると思うけど、星見祭の夜に流星群を見ながら願い事をすると叶うっていう伝説だよ。だけど、願いは1つきりじゃないといけないんだ。2つも3つも願ったり、あと、別の事を考えたりしててもいけないんだよ』
「大変そうだね…」
 不安げに、リナがぽつりと呟いた。そんなこと、果たして自分にできるのだろうか。
『でも、実際に3年前願いが叶った人がいたんだろ? 大丈夫、100%無理って訳じゃないよ。妖精は気難しいから大変だろうけど』
「妖精…?」
『願いを聞き届けてくれる妖精の事だよ』
「ふうん…、がんばってみるね」
『神社の伝説は、星見祭の夜にこの神社へ来ると素敵なものが見れるって伝説だろ? 何が見れるのかは、人それぞれだから言わないでおくよ。でも、リナは来ない方が良いと思う。また、結界の中に入っちゃうかもしれないから。本来はここは入っちゃいけない所なんだよ』
 リナが、不思議そうに首を傾げた。
「あなたは、誰? どうしてそんなに知ってるの?」
『内緒。今日はありがとう。お客が来たのなんて久しぶりだったから、ついたくさん話しちゃったよ。リナなら、きっと願いが叶うよ。また、いつか話せると良いね』
「え…」
『今日の事は、できることなら誰にも話さないでほしい。それから、忘れないでいてくれたら嬉しい。大丈夫、すぐに元の世界へ戻れるよ』
 言い終わるのと同時に、光が辺りを包み込んだ。あたたかくて、柔らかな、しろい光だった。その中で、リナは一瞬、声の主と思われる少年を見たような気がした。にっこりと、笑っていた。
 …そこで、リナの意識は途切れた。

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