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 キトゥンの問い詰めるような視線を、セーラは真正面から涼やかな眼差しで受けとめた。当然ですわ! というような態度で言い放つ。
「リナの先輩として、わたくしは影ながら彼女を見守って、声援を送ってますのよ。とても、心配ですもの…」
 キトゥンは予想を裏切らないセーラの物言いにやれやれと首を振った。やはり、彼女に聞くだけ無駄…というわけである。深いため息が出てしまう相手の一人である。どうして、私の周囲には特に強情なのが揃うのかしらね。やれやれ……。
 キトゥンがリナに呼び出されて図書館で話をしていた時、リナに気づ付かれないようにセーラが本棚に身を潜めて様子を窺っているのに気が付いた。この件に関して貴方を――オール・セインツを歓迎しないという感じの眼差しをたたえた彼女を。
「最終学年として、卒論で忙しいのではないの?」
 セーラが金髪の頭を大きく振った。
「共同者が肝心な時に風邪でダウンしてしまうんですもの。もちろん、ご存知ですよね?」
 セーラとエコは二人の担当教官マシューの指導で共同の卒論に挑んでいた。卒論の内容は秘密事項なのでキトゥンといえど知りえる事が出来ない。が、二人が共同でやる事だけは情報として把握していた。現在、医務室の住人になっているエコの事も承知の上である。
 もしかしたら、エコはストレスでダウンしたのだろうか? それとも卒論絡みの事柄で風邪を引く状況下に(今年の雪見祭のように)陥ったのだろうか? どちらにせよ、このセーラと共同で卒論をしているという事実は大変そうだとキトゥンは思った。
「どうして今回の主役はリナなのかしらね?」
 キトゥンは不毛の問いかけを再度試みる。セーラの華々しく名門の家柄にふさわしく(?!)
前例のない卒業を狙っている彼女にとって今回の件は地味過ぎると解っていて。
「あら、リナが持って来ましたのよ」
 セーラはニッコリ! としながらそれに答えた。果たして、それだけのはずのもないのだが彼女の場合。
 キトゥンは予想を裏切らない言葉に再度やれやれと首を振った。早く、エコが医務室から復帰してくる事をリナと一緒に願いたいキトゥンである。

 ぴぃーひゅー。ぴゅーひぃー。ぴぃーひゅー……。
 風の音? 最初にリナが感じたのはそんな感覚だった。次の瞬間、知らない場所に立っていた。あわてて、辺りを見回す。
「ここは…何処かしら???」
 春の景色のような草原――。学園から大陸の何処かの大地に飛ばされた??? やはり…迂闊に小さな入り口の扉とはいえ、神社の扉に手を掛けるべきではなかったのかも…。
 いいえ、これはきっと、願い事を叶える為の試練という代物だわ。神社にはそういうものが付き物なので――。きっと、そうよ。
 あれ、誰かがいるわ?
 その人物にリナが目を凝らてみると、その人物は今まさに、こちら振り返ろうとしていた。
 ドシーーン! リナの背後に重い物がぶつかったような強い衝撃が走った。前のめりに倒れ込み、再び背中の痛みに堪えて、彼女が顔を上げた時には全ては闇の世界だった。
 何が? どうなったの?
「あら、嫌ですわ! 衝撃でわたくしの鏡が…」
 リナはとても聞き覚えのあるその声の主を見ようとして、魔法の灯りを燈そうと…。
「駄目! リナ、今ここで灯りはいけなくてよ」
「セ、セーラ先輩?!」
「リナ、早く探して頂戴! 鏡を!! あれがないとここの神社のご神体の鏡に自分の将来の相手が決められてしまうわ。さ、探して、この闇が動く前に!」
「!? 鏡? 将来の相手が決められる? えっ、ええーっ!!!」

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