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「ホントだ…! 気付かなかったな、こんな所に文字が刻まれてるなんて。でも…」 「…そう。問題は何て書いてあるのかよね」 「先輩たちでも読めないんじゃ、私なんてとても…」 ようやく解決の糸口をつかんだ彼らの前に、またも立ちはだかる難関。いかな三人でも読めもしない文字の意味を、いくら考えても無駄なことだった。 氷扉を押し続けた疲れもあってか、一様にその場に座り込む。 やがて、疲れきった表情のセーラ。 「…フィンさん。あなた、読めないの? さっきから、そうして腕組みしてるだけだけど…」 フ、と一瞬、笑ったかのような顔をしたフィンは氷鏡を見上げる。 「…キトゥン。だ、そうだけど?」 「……」 「セインツのシナリオ外ってとこかな。『おとぎ話』では主人公たちは自分たちだけで解決してたからね」 「…フィン!」 「分かってる、時間がないって言うんだろ? 確か128ページに…と、まぁ開くまでもないよね。あ、君、ちょっと立ってみて、そう」 言われるままに重い腰をあげたエコ。 氷鏡の向こうでキトゥンはページを捲る手を止め、状況を見守っている。 「よく言うでしょ? 押してダメなら…」 「引いてみろ!?」 セーラ、リナそしてエコまでが口を揃える。 何のつかみ所もない氷の扉。 だがしかし、いざエコが引こうとした瞬間に、扉は音もなく開いた。と、言うよりは溶け消えたのだが。 フー… 思わず漏れたセーラたちの深い深いため息。 あっけない扉の開き方もさることながら、開いた先に見える新たな迷宮の入り口についたため息だ。 「…行こう」 精一杯のエコの言葉。 力ない一歩をセーラとリナはその言葉で踏み出した。 「…しかし、精霊王を見つけるたって、この広さじゃな〜」 「そうよね、確かに…」 あれから、幾時間が経っているのだろう。もう、ずいぶんと歩きつづけている。あてどない迷宮、足取りも重い。 氷鏡の向こうでは、キトゥンが精霊の書をめくる音だけが聞こえる。彼女とて一緒に難関に立ち向かっているのだ。 そして、フィンはまた三人より後ろを歩いて黙ったままでいる。 「…あ! 今、気付いたんですけど、簡単じゃないです かそんなの〜! 先輩たちだって知ってますよね〜、この魔法?」 疲れきっていたエコとセーラ。 リナの行動に、一瞬、反応が遅れた。 「…リナ! よせ、ここでそんな魔法を使ったら!!」 珍しく声を荒げるフィン。 が、リナはすでに術を詠唱をおえていた。 氷の神殿内に突如として訪れた凄まじい反響。 『探索魔法 術者の魔力を言霊として目的に向け飛ばす魔法。 特に魔力を消費しない初級魔法だが、対探索魔法も あるため、術者と目的との魔力の差を見誤ると危険。 〜ダイナ学園指定魔術書初級編』 あっという間に四人を飲み込んだ冬の精霊王の木霊。 「春の訪れはあなたたちにかかってるのよ!」 この言葉を最後に、氷鏡でのキトゥンとの連絡は途絶えた。 「…痛〜」 「リナ〜、それが使えるなら、私だって最初に使ってるわよ〜!」 「シッ! 先輩…!」 氷の床に倒れこんだエコとセーラの非難を、手だけで制す。その視線の先には……。 抜けるような白肌みずみずしく、瞳はアイスブルーやさしく神殿を見護り、髪は白銀寒さ厳しい冬にも燃ゆる炎、ただし、氷漬けの状態でなければ、だ。 「…精霊王!?」 『…エレガ大陸はいつまでも春を迎えず、世界は雪と氷に閉ざされたままだろう。これを回避するには、閉ざされた城の扉を開き、冬の精霊王を覚醒させる必要がある。この場合、《聖なる火》を用いて彼の心に火を灯さねばならない。記録によれば、この現象は750年周期でおこると言われる…』 いつの間にか姿の消えているフィンの声だけが、三人に響く。 「聖なる火…“かがり火”か」 |
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