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No.01/NO.02/No.03/No.04/No.05/No.06/No.07/No.08/終話

「ホントだ…! 気付かなかったな、こんな所に文字が刻まれてるなんて。でも…」
「…そう。問題は何て書いてあるのかよね」
「先輩たちでも読めないんじゃ、私なんてとても…」
 ようやく解決の糸口をつかんだ彼らの前に、またも立ちはだかる難関。いかな三人でも読めもしない文字の意味を、いくら考えても無駄なことだった。
 氷扉を押し続けた疲れもあってか、一様にその場に座り込む。 
 やがて、疲れきった表情のセーラ。
「…フィンさん。あなた、読めないの? さっきから、そうして腕組みしてるだけだけど…」
 フ、と一瞬、笑ったかのような顔をしたフィンは氷鏡を見上げる。
「…キトゥン。だ、そうだけど?」
「……」
「セインツのシナリオ外ってとこかな。『おとぎ話』では主人公たちは自分たちだけで解決してたからね」
「…フィン!」
「分かってる、時間がないって言うんだろ? 確か128ページに…と、まぁ開くまでもないよね。あ、君、ちょっと立ってみて、そう」
 言われるままに重い腰をあげたエコ。
 氷鏡の向こうでキトゥンはページを捲る手を止め、状況を見守っている。
「よく言うでしょ? 押してダメなら…」 
「引いてみろ!?」
 セーラ、リナそしてエコまでが口を揃える。
 何のつかみ所もない氷の扉。
 だがしかし、いざエコが引こうとした瞬間に、扉は音もなく開いた。と、言うよりは溶け消えたのだが。
 フー… 思わず漏れたセーラたちの深い深いため息。
 あっけない扉の開き方もさることながら、開いた先に見える新たな迷宮の入り口についたため息だ。
「…行こう」 
 精一杯のエコの言葉。
 力ない一歩をセーラとリナはその言葉で踏み出した。 
「…しかし、精霊王を見つけるたって、この広さじゃな〜」
「そうよね、確かに…」
 あれから、幾時間が経っているのだろう。もう、ずいぶんと歩きつづけている。あてどない迷宮、足取りも重い。
 氷鏡の向こうでは、キトゥンが精霊の書をめくる音だけが聞こえる。彼女とて一緒に難関に立ち向かっているのだ。
 そして、フィンはまた三人より後ろを歩いて黙ったままでいる。
「…あ! 今、気付いたんですけど、簡単じゃないです かそんなの〜! 先輩たちだって知ってますよね〜、この魔法?」
 疲れきっていたエコとセーラ。
 リナの行動に、一瞬、反応が遅れた。
「…リナ! よせ、ここでそんな魔法を使ったら!!」
 珍しく声を荒げるフィン。
 が、リナはすでに術を詠唱をおえていた。
 氷の神殿内に突如として訪れた凄まじい反響。

 『探索魔法 
  術者の魔力を言霊として目的に向け飛ばす魔法。
  特に魔力を消費しない初級魔法だが、対探索魔法も
  あるため、術者と目的との魔力の差を見誤ると危険。
               〜ダイナ学園指定魔術書初級編』

 あっという間に四人を飲み込んだ冬の精霊王の木霊。
「春の訪れはあなたたちにかかってるのよ!」
 この言葉を最後に、氷鏡でのキトゥンとの連絡は途絶えた。
「…痛〜」
「リナ〜、それが使えるなら、私だって最初に使ってるわよ〜!」
「シッ! 先輩…!」
 氷の床に倒れこんだエコとセーラの非難を、手だけで制す。その視線の先には……。

 抜けるような白肌みずみずしく、瞳はアイスブルーやさしく神殿を見護り、髪は白銀寒さ厳しい冬にも燃ゆる炎、ただし、氷漬けの状態でなければ、だ。
「…精霊王!?」

『…エレガ大陸はいつまでも春を迎えず、世界は雪と氷に閉ざされたままだろう。これを回避するには、閉ざされた城の扉を開き、冬の精霊王を覚醒させる必要がある。この場合、《聖なる火》を用いて彼の心に火を灯さねばならない。記録によれば、この現象は750年周期でおこると言われる…』
 いつの間にか姿の消えているフィンの声だけが、三人に響く。
「聖なる火…“かがり火”か」

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