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「ティーナ、ちょっと尋ねたいんだけど…」
「声、のこと?」
 複雑な笑みを浮かべて、キトゥンがうなずいた。
「分かってるなら、話は早いわ」
 小さく溜息をつくティーナ。
 ――やれやれ。
「なあに? 嫌そうな顔して」
「いいえ。何でもないわ。尋ねたいことって?」
 ティーナに差し出された椅子に座ったキトゥンは、深緑の瞳を大きく見開いてティーナを見つめた。
「あの声…あなたは聞き覚えがない?」
 意外な質問だった。
 セインツは、どこまで知っているのだろうか…。
「正直に答えて」
 問い詰めるキトゥン。
「いつ、調べたの?」
 さすがは謎に包まれた生徒会である。情報網の広さは半端ではない。
 ――隠したって無駄、みたいね。隠す必要もないし…。
「知ってるわ。かつて失踪した少女の声…に似てた」
 似てた、の言葉にキトゥンが眉根を寄せる。
 はっきりとした確証があるわけではない。これといった証拠があるわけでもない。ただ、似ていた…。それだけなのだ。100%あの少女の声だと言い切れるわけではない。
「ふうむ…。困ったわね〜。でも、その少女だという可能性は高いのよね?」
「たぶん、ね」
 ただ、どうして彼女の声が今になって聞こえたのか…。それが分からなかった。もし、彼女が何かを伝えようとしていたのなら、もっと早くに伝えても良かったはずだ。今さら何かを伝えようとしたって、彼女のことを知る者は少ない。そう考えると、あの少女の声ではないということも考えられた。
「あぁ、そういえば、資料も…」
「見つからないの」
 キトゥンの言葉をさえぎって、ティーナが言う。
 えぇ? と呟いたキトゥンは額に手を当てた。
「それじゃあどうするの? この事件を無視する訳にもいかないし。でも資料がないし」
「私以外に古くからこの学園にいる人っていないの?」
 考え込むキトゥンを横目で見ながら、また資料探しを始めるティーナだった――。

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