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  聖人が行進する時
   どうぞ、私も仲間に入れてください
 
  この世界がその輝きを失う時
   どうぞ、私も仲間に入れてください
 
  聖人が行進する時
   どうぞ、私も仲間に入れてください



「これが今回のエコの進級試験の課題じゃ」
 エコ・クラントは渡された進級試験の課題を見て、眉間を寄せた。
 彼が今いるマシュー・ホナーの教官室は整然と片付いているという表現からは程遠い有様の部屋だった。もっとも、ここの主のホナー・マシューに云わせると整然と片付いていて、使いやすいのだと言う。机や壁横には本棚や引出しから溢れた書物や紙片がうず高く天井まで積み上げられ、僅かに空いた床には見るものを当惑させるような用途のわからないものが主の意図で置かれているのである。
「マシュー先生。これはダイナ学園の校歌の一部じゃないですか?」
 ホナー・マシューの銀の瞳は優しげだ。その白に近い銀髪頭はその外見の年齢に見合ったように少し薄くなっている。ホナー・マシューの確かな年齢は誰もしらない。だが、外見は70歳代に見える。11年生のエコの担当教官である。
 ダイナ学園の進級試験は一年に一度、5月に行なわれる。筆記試験と実技試験とそして、個人々々の適正に担った課題のレーポートでワンセットになっていた。どれを落しても進級はできない決まりである。一応、追試はあるが、それに落ちれば、後は学園祭の賞を取る以外に試験を挽回して進級できない。
「そうじゃよ。実はな、校歌にはいろいろな秘密があってな…」
「だったら、全文でないと意味がないのではないですか?」
 ホナー・マシューは面白げに声を上げた。
「エコは全文やりたいかね? 卒業するまでに何年もかかるぞ」
「そ、それは困ります。なるべく、早く卒業したいんです、ぼく…」
 渋い表情のエコである。
 マシューは考えるような銀の深い眸でエコに尋ねる。
「エコは何の為にここにきたのかの?」
「村でお世話になった皆の役に立つ様になりたかったからです」
「う〜む…。今もそうかね?」
「はい。その為に奨学金をいただいて勉強してます」
 マシューはそれを聞くともう一枚の用紙をエコに渡した。
「おお、そうだ。忘れておった。それではこれも必要じゃな」
 渡されたものを見て、エコはギョッ!となった。エメラルド色の瞳に疑念が浮く。
 こんな、課題は始めてだし、今までに聞いた事がないけど…。
「これは…」
「追加分じゃ。エコなら大丈夫じゃろうて」
 ホナー・マシューが機嫌よく声を上げた。
 生徒は例外なく、担当教官の進級試験の課題に異を唱える事はできない。唱えた時点で、その者の落第が決まるのであるからだ。
 エコ・グラントはダーク・ブルーの髪を掻き揚げながら、もう一度、追加分の用紙をじっくりと見た。だが、状況は変わりない事実として、その紙片に刻み込まれていた。

『この課題はセーラ・リニー・ルーセンとの共同課題であること』

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Material by Kigen

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