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学園の廊下は生徒達の喧騒に溢れていた。ヘリオトロープの葉円の内にシナンの港を象徴する錨を芯に魔術を表す杖と武術を表す剣が重なる正五角形のダイナ学園の紋章を見つめながらセーラが呟いた。 「どうしてなのかしら?」 そう言ったセーラの横顔には、いろいろな思案が廻っているのだろう。複雑で難しい表情が浮かんでいた。 エコ達がオール・セインツの本会議を終えてから出た先は入った場所と同じ場所だった。廊下のどこにでもある記章の前の一つである。だが、キトゥンに案内された部屋から一緒に出たはずのフィンとザブレフの姿が見られないのだ。キトゥンを除く入った時と同じエコとセーラとリナの三人だけである。 あの特別な部屋は出口も入口同様にそれぞれが導かれた扉という法則なのだろうか? それともあのフィンのことである、違う意味合いがあるのだろうか? エコはそんなことを考えていた。 「セーラ、なにを指して言っているんだい?」 エコに真っ直ぐに向き直ったセーラは挑むような琥珀色の双眸だ。嫌な予感がするエコである。 「もちろん、フィンさんとザブレフさんのことですわ。 ああ…、やっぱり……。 内心でため息をつくエコであった。セーラはことさらにフィンのことになるとどういうわけかムキになる傾向がある。歪んだライバル心とでもいうのか、探求心も能力もあるのに煮え切らないフィンが気に入らないのか、あるいはフィンその人との相性が悪いのか、フィンが関わるとますます暴走を見せるセーラであった。 なんだか、どんどん課題の本題から遠ざかっていっているような…。 そんな感覚を強く憶えて、エコは何度目かの不安を振り払う様に思考を切り替えた。 生徒会オール・セインツ達は何をぼく達にさせたいのだろうか? それともぼくの課題が彼らのなんらかの関心を引いたのは彼らの関わっている物に接触したのだろうか? でも、マシュー先生は危険な課題は出さないはずだし、オール・セインツが関わる それに、羊皮紙に仕掛けをしたのはマシュー先生であるが、発動させてしまったのは対象であるはずのぼくではなくセーラであった。この状況をマシュー先生は想定されていらしたのだろうか? ぼくがあの羊皮紙を発動させたら、一体どういう状況が起こり得たのだろうか。あの仕掛けは一度限りなのだろうか。リナの関わりも果して偶然なのだろうか? フィンさんとザブレフさんはどういう課題をだされてあそこにいたのだろう。フィンさんは興味ではなく、珍しく進級するつもりで課題に取り組んでいるのだろうか。一年生のザブレフさんに難しい課題が出てるはずもないだろうし…。 考えれば考えるほどに疑問が次から次へと浮かぶエコだった。 エコは思う。自分は二つの課題をやり遂げて、及第点を貰えるんだろうか…と。 |