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セーラは自分のためにだけ世界が回ってるという考え方は持っていない。ただ、自分の“ため”にも世界は過分に回っていると考えているのだけは確かなようである。
「なんてタイミングがいいんでしょう! ティーナさんにぜひ、ご意見を伺いたい件がありましたの。よろしいでしょうか?」
 図書館に着くと、早速、セーラは例の詩集のような本をティーナに差し出していた。
 エコは内心この大胆なセーラの行動にドキリ!としつつ、密かな期待も抱いていた。ティーナがなんとかこのセーラの暴走を止めてくれて、自分をセーラのこの企てから解放してくれるのではないかという、淡い期待を――。
 一方、リナはワクワクしながら水色の瞳をキラキラさせていた。彼女は常に好奇心の塊である。
「あら…、これは学園を読んだ詩集ね〜」
「ここの箇所なんですが…判読できないですの」
「う〜ん…、私もこの本は初めて見るわ。
『失われし魔法は今解き放たれる』の次の最後の締めの部分ね。
気になっちゃうところが消えてるわけ…」
「そうなんです。なんだか釈然としなくて、こうもやもやとして気持ちが悪くて…」
「詩って、難しいのよね。その人の感性で書かれているものだから…」
「ティーナさんだったら、この失われた箇所にどういう言葉を入れます?」
「そうね…。全体的に謙虚な気持ちで物事を見れば人生の本質が見えてくるとかいう趣旨のようだから…」
 おもむろにティーナが開いていた本を閉じた。
「私って、こういう才能ないのよね。悪いけど…、笑われないうちにやめとくわ」
 セーラが口を開く前にリナが『そんな〜』とか『聞きたいです』と言い出した。
「そうだわ! こういう感性ものにぴッたしの適任者がいるわ」
 どうやら、ティーナはキトゥンに頼まれた役を他の人物へと振り変える方法を選んだようである。つまりは誰かに押し付ける。いかに広報で多忙とはいえキトゥンがティーナにこの件を頼んだのは大きな間違いだったようである。大のお祭り好きな彼女である。年に一度のこの時期に他の事に時間を割いている余裕も気分もないのである。当然といえば当然な結果ではあるのだが…。

 先刻、キトゥンに頼まれて、彼女は――
『そうね…。誰かお目付け役がいるわよね。彼女らには…。いいわ。
キトゥンも忙しいでしょうから、私がなんとかしてみせるわ』と。
 そして、ティーナが自分の代役のお目付け役として選んだ人物は…。

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