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 食堂には、あまり生徒の姿はない。明日の収穫感謝祭、そして明後日の収穫歓喜祭の準備で忙しいのだろう。その上、今は昼食には少し早い時間でもある。
 しかし、そのおかげでセーラ達は窓際の特に眺めの良い席を陣取ることができた。
「あのさ、セーラ…」
 スープを落ち着かなげにかき混ぜながら、エコが切り出した。
 エコの真正面に座るセーラが何ですの、と答える。
「ちょっと思ったんだけど、…開かずの間は本当に開くのかなあ」
「エコ?あなた、わたくしの言うことを信じていないんですの?」
 その威圧感におされてか、スープをかき混ぜる手がぴたりと止まる。
「信じてない訳じゃないよ、ちょっと思っただけだって! その…嫌
な予感がするからさ」
 嫌な予感。
 それは、あの詩集を見たときからずっと続いていた。いや、それより前からだったのかもしれない。そしてその予感は、収穫祭が近づくにつれて確信になりつつあった。
「何かよくないことが起こりそうなんだ」
「大丈夫ですよー、エコ先輩! 心配しすぎですってば」
 能天気なリナの声も、エコの不安を吹き飛ばしてはくれなかった。
「リナの言う通りですわ、エコ。…それだからあなたは」
「背が伸びないのよ、って言いたいんだろう。余計なお世話だよ」
 お決まりの台詞を遮って文句を言うと、セーラが悪戯っぽく笑った。
「あら、セーラ達じゃないの! 準備は順調かしら!?」
 ふいに耳に飛び込んできた、リナに負けず劣らずの能天気な声は、ティーナのものだ。収穫祭が迫っているからだろう、普段よりかなりテンションが高い。
 そういえば、ティーナは大のお祭り好きだったっけ。毎年、派手な衣装で楽しませてくれるけど、今年はどんな衣装にしたんだろう…。
 セーラへの密かな抵抗もあえなく失敗したエコは、仕方なく別のことに思いをはせようとしていた。
 このまま開かずの間のことばかり考えていてもらちがあかない。それに、考えれば考える程、悪い結果しか浮かんでこないのだ。
「ええ。明日が楽しみですわね」
「そうねー、めいっぱい楽しまなくちゃね! それじゃ、私まだ準備が残ってるから。じゃあねー」
 相当浮かれているティーナを見送ってから、セーラはエコに向き直った。
「心配はいりませんわ。雪見祭のときのことを覚えていて? あのときのようにわたくし達は“おとぎ話の主人公”なんですのよ」
 何だか違う気がするけど、と反論するのはやめておいた。結果は見えている。
「雪見祭のときって?」
 不思議そうに尋ねるザブレフに意気揚々と説明し始めたセーラの声を聞きながら、エコはぼんやりと窓の向こう側を見た。
 気持ちとは対照的な青空を見て、何だか悲しくなったエコだった。

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