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「それで? …僕に、お目付け役をしろと?」
 少し不機嫌そうな声。
 軽く肩をすくめて、ティーナはため息をついた。
 夕暮れ時の図書館には、フィンとティーナ以外、誰もいない。
「私だって忙しいのよ。あなた、別に忙しくないでしょう?」
 …そう。収穫祭が迫っているのだ。余計なことをしている暇はない。お祭り好きの血が騒いでいる。
「厄介事に巻き込まれたくないんだよ。誰か別の人に…、そうだ、ザブレフなんかは暇なんじゃないかな」
 フィンは今回の件には関わりたくないらしい。
自分で行動を起こすのが嫌なので、見物に回るつもりだろう。
「ザブレフ? 彼ねぇ…引き受けてくれると思う? 引き受けてくれたとしても、ちゃんとやってくれるかどうか…」
「彼は意外と有能だと思うけど。…やる気になれば、ね」
 頼りない返事に、ティーナは再びため息をついた。
 フィンは割に頑固な所がある。このまま話し合っていても、お目付け役は引き受けてくれないだろう。
 …仕方ない。駄目もとで、ザブレフに頼んでみよう。
あまり乗り気にはなれなかったが、ティーナはそう決意した。
「…あ、そうだわ。フィン、これを見て」
 ふいにティーナは詩集のことを思い出して、それを取り出した。先程セーラから借りておいたのだ。
「この部分。どんな言葉が入ると思う?」
 フィンは詩に目を走らせると、少し笑った。
「失われし魔法は 今 解き放たれる…? ふうん、おもしろいね」
 『おもしろい』と言われても、ティーナには何のことだかさっぱり分からない。
「おもしろいって? あなたは、ここに入る言葉を知ってるの?」
「知ってる訳じゃないけど。何となく予想はつくよ」
「…教えてくれないの?」
 残念そうに、ティーナが呟く。
 フィンを見つめるその銀の瞳は、明らかに『教えて』と訴えているが。
「すぐに分かってしまったら、おもしろくないだろう?」
「…」
 やれやれ。今日のフィンは、何だか意地悪だ。
「それもそうね。分かったわ、ありがとう」
 そう言うと、ティーナは足早に出て行った。
「…面倒なことになりそうだ」
 1人残されたフィンは、そう呟いた。
 見物に回っておいて良かった、と思いながら。

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