目次はじめに登場人物世界観等学園行事執筆仲間MLについて掲示板

No.01/NO.02/No.03/No.04/No.05/No.06/No.07/No.08/No.09/No.10
/No.11/No.12/No.13/No.14/No.15/No.16/No.17/No.18/No.19/


「やれやれ。困ったことになったわね・・・」
 深いため息をついて、キトゥンは書架にもたれかかった。
 フィンはつい先程、出ていってしまっていた。
 キトゥン以外誰もいない図書館で、彼女は2度目のため息をつく。
「感謝祭なんて、よりによってこんな忙しい時期に…。あぁ、何てこと」
「何か悩み事でも?」
 ふいに後方から声をかけられ、キトゥンは慌てて振り返った。そこに立っていたのは・・・司書のティーナ。図書館にはキトゥン以外、誰もいなかったはずなのだが…、一体いつからいたのだろうか。
 キトゥンが戸惑っていると、ティーナは悪戯っぽく笑った。
「私の気配に気付かなかったなんて、相当悩んでるみたいね?」
「…ええ。感謝祭のことで、ちょっと」
「そう。…ふふ、もうすぐ感謝祭、そして歓喜祭だったわね。楽しみだわ。キトゥンは楽しみじゃないの?」
 にこにこしながら尋ねるティーナの姿を見て、キトゥンは脱力感を覚えた。
「…ティーナ、浮かれすぎは良くないわ」
「あら、浮かれすぎてたかしら。でも、お祭りなんだもの。派手にパーッとやらなきゃ!」
「そうね…。でも、感謝祭は厳かに行うものよ」
 フィンもティーナも呑気すぎるわ…。
 そう思いながら、キトゥンは3度目のため息をつき、ティーナは彼女のそんな様子に気付くこともなく、感謝祭のことをあれこれ考えていたのだった。

 一方、セーラ達は夕食後、図書館へ向かっていた。
 エコは即座に自分の部屋へ帰ろうとしたのだが、あえなく失敗し、セーラにつかまってしまった。
 リナは、自分から一緒に行きたいと言った。
「セーラ、僕、課題をやらなくちゃいけないんだけど…」
「それでしたら、後でわたくしのを写せば良いわ」
「……」
「エコ先輩、どうしてそんなに図書館へ行きたくないんですか?」
 リナが不思議そうに尋ねると、エコは困ったように笑った。
「何だか、嫌な予感がするんだ」
 昼間、図書館で開かずの間が題材の詩を見たときに感じた、あの予感と同じ。
「気にすることないですよ!」
「うーん…」
 リナが励ましたが、エコは曖昧に頷くだけだった。
「リナの言う通りよ。気にすることありませんわ。…それとも、エコ?あなた、わたくしと一緒に行くのがそんなに嫌なんですの?」
「そっ、そんなことないけど…」
 どうしても図書館へ行きたくないらしいエコを、半ば引きずるようにしてセーラ達が歩いていると。
「こんな時間に、どこへ行くつもり?」
 後方から声をかけてきたのは、ティーナだった。
 少し驚いた様子で、セーラが口を開く。
「ティーナさん! ティーナさんこそ、どうしたんですの?」
「私? 図書館へ行くところ。忘れ物をしてきちゃって」
「わたくし達も図書館へ向かっているところですわ。ちょっと調べたいことがあるんです」
「だったら一緒に行かない?」
 にっこりと笑ってそう言ったティーナに、セーラも微笑んで頷いた。

次へ

目次へ