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「聞きましたわよね?」
 リナはこくこく頷いた。
「で、ど…どうするんです?」
 と、リナはこわごわとセーラに尋ねた。フィンが絡むとセーラはことのほか、意固地になる傾向がある。リナとエコはお互いに不安な顔を見合わせた。
「ザブレフさん、わたくし、ティーナさんよりいい交換条件をお出ししますわ。リナが大ダンスパーティーで貴方のパートナーを勤めます。その代わりに、貴方はフィンさんから『失われし魔法は今解き放たれる』の次の最後の締めのところを教えてもらって、それをわたくしに伝えるのです。ねえ、とてもいい条件でしょう!」
 満足げに微笑むセーラ。
 リナはあまりの事に絶句して、言葉が出ない…。
 一方、ザブレフは確かにティーナはパートナーは紹介する約束したが、果たして、紹介だけなのだとしたら…と考え込みはじめた。
「セーラ、それじゃ、リナが…」
 と、エコがなんとかセーラを説得に取りかかろうとするが…。

 セーラ達が図書館でティーナに『感性ものの適任者』として推薦されたのはザブレフだった。セーラ達はティーナの推薦をどう考えても、眉唾物の情報だと感じていた。が、一応、ティーナからの推薦なので、駄目もとでも参考程度にと思い直し、聞きに来たのだった。
 そして、話をしていて、いつものザブレフとは違う歯切れの良さにセーラは疑問を感じた。こういう時のセーラの感は鋭い物がある。当然、セーラはザブレフを問いつめる。もちろん、セーラに対抗するほどの気迫のないザブレフである。洗いざらいしゃべらされてしまった。
 ザブレフが言うには――ティーナは大ダンスパーティーのパートナーを紹介する。という美味しい話しでザブレフを懐柔したと言う。
 どうやら、ザブレフとしては一度でもいいから大ダンスパーティーで皆のように踊ってみたという淡い思いを抱いていたようである。
 彼らが尋ねてきたら、セーラにダンスの指導をして欲しいと頼むのよ。私から推薦されたといって、そしてね…。
 セーラにとって、一番の問題はフィンが彼を押した事と、どうやらフィンが『失われし魔法は今解き放たれる』の次の最後の締めの言葉を知っているらしい事である。
 フィンの名前を聞いた途端、めらめらとセーラの琥珀色の瞳が激しい闘志を見せて燃えあがった。こうなってしまってはもう、誰も彼女を止められそうにもない。お目付け役のはずが、逆にセーラの企てをさらに燃えあがらせる結果を招いたのである。

『常に物事には表の顔と裏の顔がある
 表の顔が華やかで煌びやかであればあるほど
 人々がそれに心を奪われれば奪われるほど
 裏の顔との隔たりはその距離感は遠くなる

  大地に 水に 感謝せよ
  神々に 精霊に 感謝せよ
  門は開くだろう
  扉は開くだろう
 失われし魔法は 今 解き放たれる
 日常の翼を解き放ち いざ 逆転の一日を楽しめ』

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