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 リナがダンスパーティーでパートナーをつとめる代わりに、ザブレフに協力してもらう。それが数日前にザブレフと交わした約束だった。
 …といっても、ほとんどセーラが一方的に決めたことではあったが。
「あぁ、そうですね。私もどうしようかなぁ…?」
 困ったようにリナが首を傾げた。
 リナはもちろんのこと、ザブレフもある意味では被害者だ、とエコは思っていた。
 どうもセーラは今回の件に関して、特別な思いを抱いているようだ。普段の彼女ならこんなことはしないだろう。少し気の強いところはあるが、たぶん根は優しい女の子なのだ、彼女は。
「その点に関しては2人共心配はいりませんわ。私が用意してさしあげましょう」
「わぁ、本当ですか? ありがとうございます!」
 リナの瞳が輝いた。
「えぇ。とびきり素敵な衣装を用意しますわね」
 セーラのいう『素敵な衣装』とは果たしてどんなものなのか。やれやれ。不安なことばかりだ。
 エコは再びため息をついた。
「さぁリナ。私達は開かずの間へ参りますから、あなたは見張っていてちょうだい」
「分かりました! 先輩、気を付けてくださいね」
そう言ってリナは入り口に近くへ駆けていった。
「…いよいよですわね」
 珍しく緊張しているような感じのセーラは、ゆっくりと『開かずの間』へ近付いていく。
 エコをザブレフは思わず心配そうに顔を見合わせた。

『開かずの間』の扉は一見すると普段と変わらないように見えた。古ぼけた大きな茶色の扉は魔法文字で装飾されている。
 エコはどこかしら威圧感を感じた。
「セーラ、…本当に開けるんだよね?」
「当たり前ですわ! ここまで来て引き下がるなんて…」
 セーラが意気込んでそう言った、その時。
「いいえ。開けることは許さないわ」
 よく通る澄みきった声と共に現れたのは、
「キトゥンさん!?」
 ――キトゥン、だった。

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