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三人の前に174cmのキトゥンが立ちはだかった。『開かずの扉』の古ぼけた大きな茶色の扉を背にしながら。 「この扉に手をかけることは私が許さないよ、きみたち」 それを聞いたセーラは微かに微笑んだ。 わたくしが考えた通り、『開かずの扉』は今日だけ開くのね。 セーラは自分の推量が的確だと確証したのである。 エコはやれやれとため息をついた。これで、この計画から解放されると安堵感が広がっていくのを感じて。 ザブレフはキトゥンの登場に完全に引いていた。彼はオールセインツを天敵と思っていたのだから仕方ない。 「キトゥンさん、オール・セインツの広報である貴方がこのようなところで遊んでいてよろしいのかしら?」 セーラとキトゥンは静かにお互いの思惑を持って睨み合っている。 「ええそうよ。よろしくない。だから、きみたちはここで諦めなさい! 今すぐに!」 セーラが先ほど糸電話をだした布袋から、手探りで今度は別な物を取り出した。 それをキトゥンに向っておもいっきり投げつけた。 セーラの投げつけたそれは他愛のないオレンジ色の片手で投げて遊ぶのちょうどいい普通のカラーボールのように見えた。 当然、キトゥンはこともなく右手で払う。次の瞬間、オレンジのボールが弾けた。そして…。 「セ、セーラ!!!」 エコが狼狽と驚きで力なく叫だ。ザブレフは絶句したまま、口をあんぐりとあけている。 セーラは注意深く、様子を見ながら、自分の思惑通りにいった事に満足の微笑みを見せた。 「こ、こんなことして…」 エコはその先は恐ろしくて言えなかった。 「さぁ、扉を開きますわよ」 セーラはキトゥンの脇を制止も邪魔もなく通りぬけ、扉に手をかけた。 キトゥンは何も出来ない、何も言わない。何も出来ず、言えないのだ…。 何故ならば、キトゥンは凍りついていから、完全なまでにカチンコチンに。 キトゥンにセーラが投げつけたのは対象の時間と行動を凍らせる魔法を込めたボールだった。エコが心配したようにセーラはルーセン家の他の魔法道具を持ちこんでいたのである。 今日は魔法力の弱まる日、オール・セインツのキトゥンもそれは例外ではない。いや、むしろ、強い魔力の持つものほどその影響が大きいのかもしれない。それを知っていたはずのキトゥンは相手がセーラ達でもあり、多忙さも手伝って油断したのである。 「さぁ、キトゥンさんが時間と行動を止めているうちに目的を果しますわよ」 エコと我に返ったザブレフはお互いに顔を見合わせた。二人の心中は同じである。 魔法が解けた後のキトゥンのことを考えると、二人とも、とても、恐ろしかったのである。 |