目次はじめに登場人物世界観等学園行事執筆仲間MLについて掲示板

No.01/NO.02/No.03/No.04/No.05/No.06/No.07/No.08/No.09/No.10
/No.11/No.12/No.13/No.14/No.15/No.16/No.17/No.18/No.19/


通年のように、収穫感謝祭の食事は質素である。収穫をもたらした神々と精霊に感謝を捧げて過ごす一日であるのだから、当然といえば、当然であるのだが…。
 とはいえ、今年はあまりといえばあまりの食事内容である。
「どうして、パン一個にミルク一杯なんですか?」
 リナが恨めしそうに今日の最初で最後の食事を見つめながら納得できないという感じで言っ放った。
「ぼくもここに来てから、こんなのは初めてだよ。ねえ、セーラ?」
 エコはセーラに同意を求めるように促した。
 当のセーラは想いの大半をすでに“開かずの間”の方へと寄せていたので、食事の事など、この際、どうでもよかった。お腹が空いたら、自室にある御菓子等を食べればいい。しかし…。目の前のあまりにも質素過ぎるパンとミルクを眺めながら胸の内にに疑問が湧いてきた。
「…そうですわね。一日ぶんの食事がパン一個とミルク一杯だけというのは…」
 セーラ達は今日の計画の為に早起きして、食堂に一番乗りしていた。一日、授業がないので早い時間なので生徒の姿はほとんど見られない。収穫感謝祭の食事を嫌って、朝一便の船で港町シナンへ繰り出した者も多い。しかも、この2日間はどういう理由でか、ダイナ学園内だけで魔法力が弱まるのでそれを嫌う者も船でシナンに渡っていた。
「これは…、なんらかの陰謀かもしれませんわね」
 食べ始めていたエコは思わずむせそうになって、パンをミルクで飲みこんだ。
「セーラ先輩。やっぱり、そうですよね〜。育ち盛りの私達にこんな過酷な食事なんて…」
 リナが納得という感じで頷いていた。10歳のリナが言うと実感がこもって聞こえる。
「セーラ! また、ものごとを厄介にさせないでくれよ」
 セーラの琥珀色の瞳が真剣にエコの眼を見つめていた。それが、ふっ!と弛んでいつものあの表情を醸し出す。
「だから、貴方は背が伸びないのよ。いい、この状況は絶対におかしいでしょう?」
「セーラ先輩、陰謀って?」
 リナはワクワクという感じで、好奇心に満ちた双眼を見せていた。
「そうね。わたくし、このような所業が可能なのは先生方かオール・セインツの皆さんあたりなのではと考えましたの」
「セーラ。考え過ぎだよ。なんだってそんなことを今日のこの日にする必要があるんだい?」
「決まってますでしょう。今日のこの日ですからですわ」

次へ

目次へ